PLUTO

2015年7月15日。探査機ニューホライズンズが鮮明な冥王星の写真を地球に送ってきた。
僕が子供のころ、冥王星は太陽系第9惑星であり、太陽系の最果ての地、終点でもあった。

人気アニメ宇宙戦艦ヤマトや銀河鉄道999でも登場しており、火星や木星と同じようにロマン溢れる惑星のひとつだった。
しかし、21世紀の科学の進歩によって冥王星の外側で準惑星エリスが発見などが相次ぎ、木星型天体とは性質の異なる冥王星は新発見された小天体群と同じように「準惑星」として分類されることになってしまった。
また、同時に冥王星は太陽系の終点というアイデンティティも奪われてしまった。

冥王星の冥王とは文字通り、ギリシャ神話の黄泉の国の王・ハーデスのことである。
宇宙を2番目に治めたクロノスの長男でありながら、実の親に恐れられ飲み込まれてしまったり、その後のゼウスとポセイドンらと統治する世界を別けた時も「冥界」という冴えない場所を割り当てられたりした不遇な神様である。

性格もどちらかというとシャイでネクラ。
しかも、冥界から出ることのない引きこもりなため、実力はあるのにオリンポス12神にも含まれてはいない。
そんなハーデスだから、人々からは、余計に恐れられ、敬遠され信仰の対象になるようなこともなかった。

冥王星とハーデス。
ふたつの冥王の不遇つぷりは、どことなく似ているような気がして同情せずに入られなくなる。

 

しかし、今回のニューホライズンズの冥王星の写真を見れば、きっと誰もが暖かい気持ちにさせられただろう。
おそらくは歴史上、最も大きな「ハートマーク」。

それは月のウサギのような曖昧なものではなく、ハッキリと美しいハートである。
暗い太陽系の最果てで、まさかこんなに「かわいらしいハート」に出会うなんて誰が想像したことか。

 

『ハートは命の象徴』。
人は救いを願って神様にすがり信仰してきた。

しかし、そんな信仰が対立や差別、戦争やテロの火種となっているというのも紛れもない事実。
命の救いを求めた結果が、欲にまみれ、人を憎み、憎まれ、傷つけ、傷つけられ、破壊を繰り返すという悲しい現世。
死んだあととは言え、富める者、貧しい者も関係なく、全ての人類を分け隔てなく受け入れてくれる神様はハーデスぐらいだろう。
暗い世界で頭の3つある犬を飼いながら、いつでも扉を明けて僕らを待っていてくれる冥王ハーデス。
考えようによっては、なんと優しく、大きなハートをもった神様なんだろうと思う。

©NASA

©NASA

 

 

©BAKAORU

 

2015-07-17 | Posted in ILLUSTRATIONNo Comments » 

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