僕のイラストレーションの原点

マンガの描き方。
漫画を描き始めたのは、小学校2年の頃からだと思う。近所の仲間たち数名で「漫画研究会」を立ち上げ、松本零士氏の絵を模写したり、コブラをキャラクター化した今で言う「ゆるキャラ」なんてのも描いて友達に見せびらかし、『上手だね』と言われるのがなにより嬉しかった。この頃、父が買ってくれた手塚治虫著『マンガの描き方(カッパブックス1977年発行)』が僕のバイブルだった

詩とメルヘンがイラストの世界へ。
それまでインクとカブラペンというモノクロの世界にどっぷり浸かって、当時大ファンだった小山田いく先生の模写ばかりしていた僕だったが、中3の頃NHK趣味講座の「イラスト入門」を見てしまったのが運のつきだった。
イラストレーションの持つメッセージ性やアイデアなどに高揚し、やなせたかし先生の叙情的イラストはロマンチストの僕には夢のような世界に写った。番組でも登場した「詩とメルヘン」や後に刊行された「イラスト入門Ⅱ」を何度も読み返し、いろいろなイラストレータの技法を模倣し「アイデア」の作り方を写し取っていった。



井の中の蛙、大海に溺れる。
学生時代からイラストレータの秋山孝先生と懇意にして頂き、卒業と同時に秋山孝事務所にアシスタントして勤務し始めた。この時期に出会った日本のみならず世界中の巨匠たちとの出会いは今の僕にとっては大事な記憶だが、同時に自分の才能のなさを思い知らされた時期もあった。

開き直りとユーレカ。
長いサラリーマン時代を経て、最近ようやく自分の中で、自分らしい絵が描けるようになってきた。若い頃にアシスタントをして勉強させて貰ったせいか「秋山孝先生」のタッチが抜けずかなり悩んだ時期もあったが、最近はそれも正しい自分なのではないかと割り切れるようになった。素直に描ける線というのは、直感とシンクロしてくれる。こういう脳からはき出されるイメージは、とても気持ちがよく、楽しいと思える。
