あなたはどこで切り取りますか?

シリアでの戦闘が長引くにつれ、ヨーロッパへと流入する難民も後を絶たない。
一時はドイツのメルケル首相の人道的な発言で歓喜に沸いた難民たちだが、昨年暮れの難民による集団暴行事件を発端にその雲行きは怪しくなってきている。

最近になって、この集団暴行事件は一人の少女の心無いデマから広がったニュースだとも言われているが、実際のところは現在も調査中といったところであろう。

ドイツ国民の中には、難民排斥を訴える人たちもたくさんいる。
ひょっとしたら、賛成派の人たちよりも多いかもしれない。
『俺たちが苦労して築いてきた富に群がる移民たち』などという根拠のない発言が示す通り、多くの移民たちは僅かな資金で命がけの旅路をしてきた結果、移民先の補助に頼らざるを得ない状況だ。

また、不本意であるが難民の中には、少なからず悪い輩もいる。
テロを企むISの工作員も紛れている。
平和な日常をぶち壊してしまう可能性のある要因を自らの国にもたらすことを嫌悪することは国民としては正常な感覚だろう。

ドイツは一方で難民のおかげで現在も経済大国の地位をゆるぎないものとしているのも事実だ。 国際条約「難民保護法」が施行されてから、ドイツは多くの難民たちを受け入れてきた。現在、ドイツは日本同様に極端な少子高齢化社会だが、不足する労働力を難民たちで補って解決してきた。

難民を一般のドイツ国民よりも安い賃金で雇い経済を保ってきたわけだ。

ドイツではないが、あのスティーブ・ジョブズもシリア移民の子であることが有名なように、多くのシリア国民は教育水準が高く優秀な人材が多いと聞く。

人道的には、すべての難民に救いの手を差し伸べるのが人としては徳の高い行いだと思うし、そうでありたい。
しかし、長引くシリア情勢を始め、ウクライナや周辺各国での絶え間ない戦闘から逃れてくる人々をどこまで受け入れていけるかは、判断が難しい。

優しさだけで、受け入れていけば先に述べたようなマイナス要因は必ず増えてくる。
難民たちだけではない。受け入れた国の中にもより過激な難民排斥運動や差別主義的な非人道的な者への賛同者も増え始める。

アメリカでの大統領選挙が真っ盛りとなったが、不動産王のトランプが票を勝ち取る事態となっていることからもわかるように、今、時代は確実に弱いものを見捨てて己の富と権力のみに執着する思想が「正義」としてまかりとおり始めている。

カルネアデスの舟板から振り落とすような正当性がこの状況に当てはまるのか。
それとも、難民たちと手を取り合ってお互いに同じ地球人として問題解決ができるのか。

有史以来、続く「疑心暗鬼の差別主義の本能」をどう克服するかが、21世紀の社会にとっては重要な課題である。

©BAKAORU

2016-02-10 | Posted in ILLUSTRATIONNo Comments » 

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